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相続コラム

相続と認知症

2024年3月21日

相続

 高齢化の加速に伴い認知症患者の数も右肩上がりに増加し続け、2025年には約5.4人に1人が認知症になると言われており、決して縁遠い問題ではなくなりました。

 介護や施設の空きなどの問題はすでにメディアが頻繁に取り上げておりますが、実は相続の上でも大きな問題があることはご存じでしょうか。

認知症と意思能力

 そもそもなぜ認知症と相続が関係するのかと言えば、それは“意思能力”という法律上の概念が影響しています。これはざっくり言えば自分について正しい判断をする能力があるか、というもので10歳未満の子どもや、酩酊状態の人間などは意思能力がないものと扱われます。意思能力がないと判断されると、その能力が認められない間に行ったあらゆる法律行為が無効になります。子どもや酔っ払いに契約を持ち掛けても無効、と言われれば納得が出来るかもしれません。認知症が重度になると、この意思能力がないと判断される場合があるのです。こうなると法律行為が無効になってしまうので、相続の手続きも全て無効とみなされ、手続きが進められなくなってしまいます。

 それではケース毎に詳しく見ていきましょう。まず、認知症患者が被相続人、つまり認知症の方が亡くなった際の相続についてですが、この場合そこまで問題は起きないことが多いです。相続は被相続人が亡くなった後の話ですから、生前の状況によって相続がどうこうなることはほぼありません。唯一の例外は遺言書で、遺言書の作成時に意思能力がないと判断された場合、遺言書の効力が無効になる可能性があります。

 次に認知症患者が相続人になる場合です。問題が発生するのは多くがこちらのケースであり、上記のように相続人に意思能力がないと判断されると全ての手続きが無効になります。特に致命的なのが遺産分割協議とその協議書の作成で、遺産分割協議は相続人全員の合意が必要となり、協議書では代筆や代印も認められません。一体どうすればよいのでしょうか

成年後見制度

 代表的なのは成年後見制度の利用です。これは本人の利益を守るため、親族または専門家が財産管理などを行う制度であり、パッと見この制度を利用し、親族が後見人になれば遺産分割協議が出来そうに見えます。ところが、話はそう簡単ではありません。

 まず、必ずしも親族が後見人になれるとは限りません。後見は家庭裁判所に申し立て、後見人の選定も裁判所が行います。親族が希望しても、裁判所がその意向に従うとは限らないのです。

 次に、仮に親族が後見人なれた場合でも、後見人が相続人であった場合、後見人と被後見人の利益が相反するため別途代理を立てる必要があります。

 最後に、これらをクリアしても尚遺産分割協議に支障が出ることがあるのです。成年後見人は被後見人の財産保護、平たく言うと損をしないことが第一になるため、被後見人の取り分が減るような相続ができなくなってしまうのです。終的な相続人を確定することになります。

事前の準備と相談を

  ここまで説明した通り、実際に認知症が進行してから対応するのは中々難しいのが実情です。特に相続人側が能動的に対応する手段はかなり限られており、制約も多いです。最も有効なのは被相続人の方が亡くなる前に対策を講じることになります。

 第一に遺言書です。被相続人が認知症になる前に遺言書で相続分を決めてしまえば、遺産分割協議は発生せず、スムーズに相続が進みます。

 次に家族信託です。これも財産管理の一形態なのですが、後見などに比べると自由度が高いのが特徴で、本人が元気な内は本人の指示に基づき、本人の判断能力が衰えたときは本人が予め設定した意向に沿って財産を管理できます。名前の通り家族が管理人になるので費用も発生せず、相続が発生した際は管理人が柔軟に対応することが可能です。相続発生時の現状に即した対応が可能なので、遺言書より融通が利くのも利点です。

これから対策する方も、既に近しい方が認知症を患っている方も、何をどうすればいいのかわからないということもあるでしょう。認知症患者の相続にしろ、遺言書などにしろ、一度お近くの専門家までご相談してみてはいかがでしょうか。



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