2024年1月21日
漸く故人の身辺整理が終わりやっと一息、とは中々いかないのが相続というもの。むしろここからが相続としては本番になります。
本格的に相続手続きに入るにあたってまず確認しなければならないのが遺言書の有無です。本来相続というのは法律で取り分が決まっていますが、遺言書はそれより優先されます。生前にその存在を知らなくとも、家や事務所に金庫がある方はそこから出てくることもありますので必ず確認しましょう。また、仮に遺言書を見つけても絶対にその場で開封してはいけません(5万円以下の過料を科される場合があります)。遺言書を見つけたら、所管の家庭裁判所に申し出てください。検認を申し立てると家庭裁判所から相続人に検認の期日の連絡があります。そして、期日に家庭裁判所で出席した相続人の前で遺言書の開封と確認がおこなわれます。確認後、検認済証明書を発行してもらえるので遺言書に添付することができます。
遺言書があればそれに則って相続手続きが進みますが、無い場合は法律に従います。まずは相続人の調査です。所謂相続順位というものを簡単にまとめると
となります。相続出来る割合は第一順位が1/2、第二順位が1/3、第三順位が1/4で、残りを配偶者が相続します。なお、配偶者が放棄した場合は10割を該当する順位の相続人の数で案分します。
相続人の調査は、亡くなった方(被相続人といいます)の戸籍を出生まで遡って確認します。死亡から出生の中で見つかった相続人を順位に沿って追いかけ、最終的な相続人を確定することになります。
預金は通帳、無い場合は金融機関に直接確認しましょう。不動産は毎年届く固定資産税の課税証明書を参考にするとよいです。こちらも無い場合は不動産所在地の役所で名寄帳というものを貰うことが出来ます。このとき固定資産の評価証明書も貰っておくと相続登記の際も使えて無駄がありません。
注意していただきたいのが借金などの債務も相続財産になるという点です。消費者金融などの債務の他、家や車のローンも対象になります。督促状などの支払い残高がわかる書類を用意しましょう。
※相続放棄について
債務も相続財産になる以上、相続財産の総額がマイナスになることも有り得ます。こうなると相続するだけ損になってしまうため、相続をしたくないと考える方も増えるでしょう。
この場合に取れる手続きは2通りあり、相続財産から払える分だけ債務を支払う限定承認と、そもそも相続の一切を放棄してしまう相続放棄のどちらかを選ぶことになります。相続放棄は相続人単独でも出来ますが、限定承認は相続人の総意で行う必要があり、どちらの手続きも相続の開始から3か月以内に行う必要があります。
遺産の分け方が決まったら遺産分割協議書を作成します。どの相続人がどの遺産を取得するのか具体的に明記しましょう。相続人全員が署名押印する必要があり、一人でも欠けていたら無効となってしまいます。
遺産分割協議書は相続人全員分を作成し、各相続人が1通ずつ保管するようにしてください。
お疲れさまでした。あとは相続の仕上げを残すのみです。もうひと踏ん張り、頑張りましょう。